「歯科領域のX線撮影」 丹羽克味(明海大学歯学部)

歯科領域のX線撮影

    明海大学歯学部歯科放射線学講座 丹羽克味


I はじめに

II X線撮影法
 II―1 口内法X線撮影
  II―1―1 X線撮影法     1) 2等分法撮影,2) 平行法撮影
  II―1―2 X線発生装置
 II―2 回転パノラマX線撮影
  II―2―1 X線撮影原理
  II―2―2 X線発生装置

III フィルム記録系
 III―1 口内法X線フィルム
  III―1―1 フィルムの構造
  III―1―2 フィルムの包装
  III―1―3 フィルムの種類とサイズ
  III―1―4 フィルムの感度
 III―2 回転パノラマX線撮影用増感紙フィルム記録系

IV 現像処理
 IV―1 歯科用自動現像機
 IV―2 インスタント現像

V 口内法X線撮影系のMTF
 V―1 撮影の幾何学配置における焦点の影響
 V―2 歯科用ノンスクリーンフィルムのMTF
 V―3 斜入撮影の影響

VI 回転パノラマX線撮影系のMTF
 VI―1 曲面断層撮影のLSF
 VI―2 回転パノラマX線撮影装置の回転軸ブレのMTF

VII あとがき


I はじめに
 口腔内の軟組織から発生する疾患は,そのほとんどが直視でき生検が容易であることから,歯科領域のX線診断は歯や骨といった硬組織の診断が大半である.X線撮影の種類はもっぱら口内法X線撮影と回転パノラマX線撮影と呼ばれる口外法X線撮影によって日常の診療が行れている.その他CTやMRIといった装置は大学病院や大病院では使用されことがあっても,一般の歯科診療所では全く利用されない.そこで本章においては口内法X線撮影と回転パノラマX線撮影に限って稿を起こすことにする.


II X線撮影
  II―1 口内法X線撮影
 口内法X線撮影(口内法撮影と略す)とは口内法X線フィルム(口内法フィルムと略す)を口腔内の歯の位置に患者の指で固定し,口腔外よりX線を照射し,歯および周囲組織の撮影を行う方法である.口内法撮影に利用されるフィルムは3cm×4cmの大きさで増感紙を使用しないノンスクリーンフィルムである.図1にその撮影中の写真を示す.


図1.口内法X線撮影

  II―1―1 X線撮影法
 口内法撮影には2つの撮影法が用いられている.それらは2等分法撮影と平行法撮影と呼ばれる方法である.いずれの方法もフィルムに歯の実長を写しだすためのものである.

    1)2等分法撮影
 図2の左に撮影法を示す.この方法は歯軸とフィルムのなす角の2等分線に垂直にX線を入射させる方法であり,1904年にPriceの発案とも,1907年にCieszynskiが始めたともいわれている.ここで歯軸とは口腔内に萌出している歯冠から想定される軸である.口内法撮影の難しさは,歯軸とフィルムのなす角の2等分線はまったく口腔外で想像される線であり,これに垂直にX線を照射して写されたX線写真は歯の長さを正確には現わしていないことである.さらに入射角度を間違えば根尖がフィルムからはみ出してしまい,全く診断に供さないものとなる場合もある.そこで口内法撮影では歯の全体像が写っていれば,良しとするものである.
歯の長さを正確に測定したい場合には,金属性の基準となるもの,たとえばリーマと呼ばれる細い針を歯に挿入して撮影し,リーマの既知の長さから歯の実長を割り出すことによって求められる.


図2.口内法X線撮影法

    2)平行法撮影
 平行法はフィルムを歯軸と平行に保持して,主線を歯軸に垂直に照射する方法である.図2の右に摸式図で示す.この方法は1947年Fitzgeraldによって始められた.この場合写された歯の長さは拡大率のみ考慮すれば実長計算は容易であるが,フィルムを口腔内に歯軸と平行に固定するための特別な装置が必要となり,撮影操作が煩雑である.現在ほとんどの診療所でこの方法は用いられず,もっぱら2等分法によって撮影されている.

  II―1―2 X線発生装置
 X線装置は固定焦点型X線管が用いられ自己整流方式の発生装置である.焦点サイズは実効焦点で0.8mm×0.8mmが主であるが,もう少し小さいものもある.管電流は7~10mAで,照射時間は0.2~1.0秒である.焦点皮膚間距離は約20cmで,照射野は照射筒の先端で6cmφ,皮膚面では7~8 cmφとなる.皮膚線量は空中線量で200~400mRである.局所であるが診断用X線としては大線量が照射されるのはノンスクリーンフィルムのためである.

  II―2 回転パノラマX線撮影
 図3に回転パノラマX線撮影(パノラマ撮影と略す)によって撮影されたX線写真を示す.この方法は一枚の写真で歯,歯槽骨ならびにその周辺の骨の状態をすべて写しだすことができる撮影法である.


図3.回転パノラマX線写真

  II―2―1 X線撮影原理
 パノラマ撮影の原理を図4に示す.2つの回転テーブルがあり,同じ角速度で回転しているとする.1つのテーブルには被写体がおかれ,他のテーブルにはフィルムが円筒状に置かれているとする.スリットの間を通してX線が照射されている間にターンテーブルが一回転すると,円筒状のフィルムに写される像は,被写体内でフィルムと同じ線速度となる部分,すなわち同一半径上にあるものが鮮明に写されることになる.そしてこの円周から外れた位置の像は横方向の線速度の違いからボケ像となる.したがってこの撮影法は断層撮影である.


図4.回転パノラマX線撮影の原理

この断層撮影法は従来の多軌道断層撮影のように平面の断層像を得るものではないため,これと区別して曲面断層撮影法とよばれる.曲面断層撮影法の原理は1939年Heckmannによって提唱され,1961年Paateroによって実用化された.今日臨床で使用されている装置は曲面断層の断層円孤を3つ組み合わせ,それぞれの移行部をスムーズに移動するようにし,歯列に断層面を合わせた3軸変換方式である.図5にその様相を示す.本法は縦長のスリット状X線束を用いる.X線管球側の1次スリットは1~2mm×4~5cmで,フィルム面での2次スリットは7~10mm×15cmである.パノラマ撮影では横方向の画像のみが断層像を呈し,縦方向は断層像ではない,したがって振子型の平面断層像と似た像となる.断層厚さを左右する因子は,スリット幅と回転半径にある.スリット幅を広げるほど,また回転半径を小さくするほど断層厚は薄くなる.


図5.3軸変換方式

  II―2―2 X線発生装置
 図6に撮影中のパノラマ撮影をしめす.管電圧は70~90kV,管電流は5~10mA,固定焦点型X線管が主に使用され,焦点サイズは0.5mm×0.5mm~0.7mm×0.7mmで50Hzの交流をそのまま用いる自己整流方式である.一回の撮影に15~17秒の照射時間を要する.新しい装置では数kHzから数十kHzの高周波が用いられているものもある.撮影はX線管ヘッドが患者の顔の側面から頭部後方を経て反対側の顔の側面まで約270°を回転する.フィルムはヘッドと対向して患者の顔面前方を回転し撮影する.皮膚面での空中線量は約50mRであるが頭部内の回転中心部では数百mRと大きくなる.


図6.撮影中の回転パノラマX線撮影


III フィルム記録系
 III―1 口内法X線フィルム
  
III―1―1 フィルムの構造
 図7に歯科用ノンスクリーンフィルムの断面を模式図で示す.フィルムベースは約180μmと厚く,乳剤層も5~15μmと厚い.両面塗付乳剤フィルムである.ゼラチン層内の臭化銀粒子の含有量は増感紙フィルム系に用いられるフィルムより多く,そのため一部の歯科用フィルムでは最高濃度が6.0以上を示す.フィルムのガンマーは現像液にもよるが3~4を示す.乳剤層の厚いのは感度の向上のためであり,フィルムベースの厚いのは口腔内でフイルムを固定する際にフィルムを彎曲させないためである.


図7.歯科用ノンスクリーンフィルムの構造

  III―1―2 フィルムの包装
 図8に包装から取り出したフィルムの写真を示す.包装はビニール製で防湿されており,1包装に1枚ないし2枚のフィルムが入っている.1包装に2枚入れる理由は,1枚をスペアとして保存するためである.1枚のフィルムで吸収されるX線量は約8%である.したがって2枚包装フィルムでの1枚目と2枚目のフィルムには画質の差はないものと考えられている.鉛箔の厚さは60~70μmで,その役割はフィルム透過後のX線を吸収し被曝線量の軽減にある.


図8.開封された口内法フィルム

  III―1―3 フィルムの種類とサイズ
 表1に口内法フィルムの種類とサイズを示す.日本では標準型,小児型と咬合型が使用されており,咬翼型は使用されていない.

表1.口内法X線フィルムの種類とサイズ

  III―1―4 フィルムの感度
 ISO規格によって口内法フィルムの感度分類がなされている.表2にそれを示す.この感度は特性曲線において実濃度で1.0を得るのに必要な線量[R]の逆数から求められる.現在国内では感度DグループとEグループのフィルムが使用されている.図9にコダック社製ノンスクリーンフィルムの特性曲線を示す.このフィルムは感度Eグループに属する.EグループのフィルムはDグループのフィルムに対して2倍の感度を持っている.


表2.口内法X線フィルムの感度分類


図9.口内法X線フィルムの特性曲線

 III―2 回転パノラマX線撮影用増感紙フィルム記録系
 パノラマ撮影に使用される増感紙は通常医療に用いられる高感度増感紙である.これを図10に示すようなハードな平面カセッテや曲面カセッテに入れて用いる場合と,ビニール製のフレキシブルカセッテに入れて,装置の円筒型のフィルムホルダーに固定して用いる場合がある.ハードなカセッテの場合は増感紙とフィルムの密着は完全であるが,フレキシブルカセッテでは不完全である.そこでフレキシブルカセッテをフィルムホルダーに固定するのに,カセッテの外側をビニールの薄いシートで圧迫して密着性を兼ねて固定するようにしている.フィルムのサイズは四つ切サイズを半分にした15cm×30cmのものが用いられている.


図10.回転パノラマX線撮影用カセッテ

IV 現像処理
 歯科で利用されるフィルムは,歯科用ノンスクリーンフィルムとパノラマ撮影用フィルムで,四つ切りより大きなフィルムは用いられない.この2種類のフィルムが現像出来る歯科用自動現像機が独自に開発されている.

 IV―1 歯科用自動現像機
 図11に代表的な歯科用自動現像機を示す.構造的には医科で使用される大型自現機のミニチュア型でローラタイプである.しかしこの自現機の特徴はノンスクリーンフィルムの厚い乳剤層の現像処理を完全に行わせるため,極めて処理時間が長いことである.大部分の自現機では現像から乾燥までに5~6分を要する.それでも時として定着や水洗が不完全になり,数年後にはフィルムが汚れたりコントラストの低下を来すことがある.現像槽や定着槽の容量は3~5リットルと小さく,現像温度を28~33°Cで行うため,特に夏季には現像液の疲労が激しく,2~3週毎に液の交換が必要となる.このため経日的な現像の安定性は極めて悪い.


図11.歯科用自動現像機

 IV―2 インスタント現像
 1枚包装のノンスクリーンフィルムを特殊なビニールで包装し,この中に注射器を利用して現像液を注入し,包装内で現像処理を行わせる方法がある.これを通称インスタント現像と呼んでいる.その現像中の写真を図12に示す.現像処理は一浴現像であり新しいものではないが,特別な暗室や自現機を必要とせず簡便である.しかし一浴現像であるがゆえに感度やコントラストに難点がある.また多数枚のフィルムを同時に処理しようとする場合には,かえって不便である.


図12.インスタント現像

V 口内法X線撮影系のMTF
 口内法撮影によって診断される疾患は歯槽膿漏や虫歯などである.歯槽膿漏を診断する上で重要な組織である歯根膜は歯根と顎骨との間に存在する200~400μmの空隙であり,顎骨骨梁の幅は300~500μmである.これらの変化を写し出すため高分解能の画像が要求されている.そのためフィルムは増感紙を使用しないノンスクリーンタイプのフィルムが使用される.虫歯は歯のエナメル質内や象牙質内に出来た小さな脱灰部をわずかなコントラスト差によって診断するためフィルムは高分解能であるとともにハイガンマーとなっている.


 V―1 撮影の幾何学配置における焦点の影響
 口内法撮影の幾何学配置は,焦点被写体間距離が25~30cm,被写体フィルム間距離は1~2cmである.そこで焦点サイズが0.8mm×0.8mmであるので,1次元で考えて0.8mmの矩形関数とすると,焦点サイズが口内法撮影の幾何学配置でフィルムに半影として投影されボケに関与すると,このLSFは最大で約60μmの矩形関数となる.LSFのフーリエ変換から求められるMTFはSin(2π0.03ω)/(2π0.03ω)となり,カットオフ周波数は被写体上の空間周波数としてほぼ10Lp/mmにある.したがって現在臨床で使用されている口内法撮影装置の幾何学配置からは,焦点サイズが画像におよぼす影響はあまり問題にならない.

 V―2 歯科用ノンスクリーンフィルムのMTF
 歯科用ノンスクリーンフィルムのMTFについてもとめる.ノンスクリーンフィルムであるので,スリット法ではスリット幅(10μm)の誤差が入り,その補正が問題となるので,ナイフエッジ法により求めた.ナイフエッジをフィルムに密着して撮影を行い,通法どおり処理したもので,詳細は割愛する.使用したフィルムはコダック社製エクタスピードプラスフィルムで,X線入射方向に対して前面の乳剤層のみについて測定した.裏面乳剤層は現像処理後,測定前に次亜塩素酸ソーダで剥離した.濃度測定はコニカ社製マイクロデンシトメータPDM-5Bを使用し,アパーチヤは5×750μmを使用した.5μmの開口補正を行った後の結果を図13に示す.歯科用ノンスクリーンフィルムの片面乳剤での解像力はほぼ30Lp/mmにある.その他の歯科用ノンスクリーンフィルムの解像力も同程度である.


図13.口内法X線フィルムのMTF

 V―3 斜入撮影の影響
 歯科用ノンスクリーンフィルムは,前述したごとくフィルムベースや乳剤層が厚く,また2等分法撮影のためX線の入射はフィルム面に垂直ではない.両面乳剤フィルムのMTF測定では,前後面乳剤層ともLSFの形状に差のないことから,片面乳剤層で求められたLSFをX線の入射角度によって前後面乳剤層による隔たりの距離だけ離して2つのLSFの合成から求めることができる.両面乳剤の口内法フィルムを用いて,歯軸とフィルムとのなす角度とMTFの関係について実験によって求めたものを図14示す.焦点被写体間距離25cm, 被写体フィルム間距離3cmとした幾何学配置で,被写体上の空間周波数で求めたものである.
 口内法撮影では歯軸とフィルムの角度が30°以上になると実際の被写体と写された被写体の形に違いがみられ,60°以上になると両面乳剤層によるMTFの劣化から,細かな診断を行う場合に障害をうけるようになる.


図14.2等分法撮影における歯軸とフィルムのなす角度とMTF

VI 回転パノラマX線撮影系のMTF
 VI―1 曲面断層撮影のLSF
 パノラマ撮影法は断層撮影であり,回転軸などの機械的なブレがない限り,断層面上のMTFは増感紙フィルム系のMTFそのものである.ここで曲面断層撮影において被写体内の任意の位置にある像のボケを考える.増感紙フィルム系にはボケがないと仮定し,図15に示すパノラマ撮影の基本形である1軸回転につい解析する.ある回転半径r上にある被写体の関数d0(x)がd(x)としてフィルムに写されるとすると,d(x)は理論的に(1)式のようになる.


図15.曲面断層撮影の基本配置


ここでR,rはフィルムならびに被写体の回転半径,wf,w0はフィルムならびに被写体の角速度,Wは被写体の置かれている円周上をX線ビーム幅の両端が横切る2点を回転中心よりのぞんだ角,bfはその両点間の距離すなわちスリット幅である.Π(x/a)は幅aの矩形関数を示すものとし,*はコンボリュージョン積分を意味する.
まず被写体が断層面上にある場合は,被写体の線速度とフィルムの線速度が一致することから,Rwf=rw0となる.これを(1)式に代入し整理すると,(1)式は(2)式のようになる.
rWは半径rの円周上でスリット幅内の円弧の長さであり,スリット幅が充分狭い場合には,rW=bfとみなすことができる.そこで(2)式は(3)式となる.

はデルタ関数である.したがって断層面上においてのボケはないことになる.
つぎにd0(x)をデルタ関数とすると,(1)式は(4)式のようになる.

(4)式は曲面断層撮影のLSFである.これをLo(x)とし,パノラマ撮影において,被写体内のあらゆる位置における総合のLSFをもとめる.増感紙フィルム記録系のLSFをLs(x)とし,装置の機械的なブレによるLSFをLm(x)とすると,総合のLSFは(5)式のようになる.
総合のLSF= Lo(x) * Ls(x) * Lm(x)           ‥‥‥(5)

 VI―2 回転パノラマX線撮影装置の回転軸ブレのMTF
 図16に某メーカの装置について,機械的ブレのMTFについて求めたものを示す.方法は断層面上にナイフエッジを固定し,この像を装置の静止した状態と,通常の撮影状態で撮影する.2枚のエッジ像はノンスクリーンフィルムを使用し,同一濃度になるように撮影する.両エッジ像からそれぞれMTFを求め,(5)式にしたがって運動状態すなわち通常の撮影状態のMTFを静止状態のMTFで除して回転軸ブレのMTFとしたものである.この実験で使用した装置はパノラマ撮影のごく初期のもので,現在の装置の回転軸ブレは無視できるまでに改善されている.


図16.回転パノラマX線装置の回転軸ブレのMTF

VII あとがき
 歯科領域のおけるX線撮影の特徴のひとつは,増感紙を使用しないノンスクリーンフィルムを用いる撮影がかなり頻繁(年間1億枚近く)に行われていることである.この方法は口腔内にフィルムを挿入して撮影を行うため,フィルムが唾液でぬれること,増感紙が高価であることなどから,口内法用のカセッテの開発が行われず,さらに焦点被写体間距離が短いことから分解能を上げるため焦点サイズを小さくすることが図られ,ノンスクリーンフィルムの使用のまま今日に至っている.しかし歯科領域のX線撮影は焦点被写体間距離が短いがゆえに皮膚線量が大きくなり,さらにノンスクリーンフィルムの使用から,局所とはいえ大線量が照射されている.このことは被曝軽減の立場から改善されねばならない事柄である.そこで改善にあたりまず解決しなければならないことは,歯科医師がノンスクリーンフィルムで写される高分解能の写真が,診断に本当に必要かどうか,もしそれほど高分解能を必要とするのでなければ,どの程度の情報量の写真が必要か等についての解明である.現状ではこれらの研究はほとんど行われておらず,今後それら一連の研究が本格的に進められるもと考えている.
 パノラマ撮影装置は本文でも述べたが1961年Paateroによって実用化されたもので,日本では1970年代になってようやく歯科診療所に設置されるようになった歯科独自の新しい装置である.今日では耳鼻科領域でも盛んに利用されるようになっている.CTやMRIといった大型撮影法の開発研究は活発に行われているが,歯科診療にはその性格上あまり縁のないものである.しかしパノラマ撮影のように歯科診療に密着した独自の新しいX線撮影法やその他画像診断装置の開発ならびに研究の余地はまだまだあるものと考えている.

 

投稿者 lee : 2005年06月18日 11:05