学会紹介(画像通信より)

(画像通信Vol.30, No.1, 2007より抜粋)

医用画像情報学会(MII)の紹介

新潟大学医学部保健学科,医用画像情報学会事務局 李 鎔範

はじめに

  Googleで “医用画像”や“画像情報”をキーワードで検索すると,数十万~数百万件のページがヒットします.そして,その検索結果の1ページ目には当学会のホームページが必ず含まれています.本学会の歴史は古く,昭和39年に設立された放射線イメージインフォメーション研究会(RII)を源流としています.そして,昭和59年に現在の学会へと昇格し医用画像情報学会(MII)が生まれました. RII研究会から数えると,今年で創立43周年を迎えます.これらの歴史は,本学会ホームページの「学会紹介と歴史」欄をご参照ください.
  本稿では,この医用画像情報学会について,研究テーマ,会員構成,学術集会,学会雑誌,メールマガジンの項目別に現事務局の一員(庶務理事)の立場から紹介させていただきます.

研究テーマ

  本学会では,研究テーマとして,医用画像情報に関する解析,処理,評価を主題として取り扱っています.特に画質評価やX線の物理特性に関しては,RII創立時から現在に至るまで続く本学会の礎的なテーマであると言えます.また,近年は,ディジタル医用画像の処理や評価,コンピュータ支援診断(Computer-Aided Diagnosis: CAD),医用画像の撮影技術やその臨床応用に関する研究発表が増えています.本学会において最近発表された演題のタイトルをいくつかご紹介いたします.(2007年2月に発表される予定のものも含む)

【画像評価に関する研究】
 ・FPDにおける信号検出能の理論的解析
 ・伝達情報量によるディジタル放射線画像の評価
 ・ディジタル位相イメージングの画像評価
 ・オーバシュートとアンダーシュートをもつエッジ像に対応したプリサンプリングMTFの測定法
【撮影技術やその臨床応用に関する研究】
 ・頭部CT検査における撮影条件が及ぼす超低コントラスト分解能の影響 
 ・MRI位置決め画像における腰椎スライスラインの決定法
 ・CTC スクリーニング検査における Virtual Gross Pathology(VGP)の有効性
 ・CT-colonographyにおける体重による低線量撮影の最適化
【ディジタル画像処理,CADに関する研究】
 ・動的変形モデルを用いた腹部CT造影画像からの大動脈自動抽出手法
 ・全乳房超音波画像におけるCADシステムの開発
 ・MRI 画像における肝硬変の検出
 ・ベクトル集中度に基づいた脳MRA画像における未破裂動脈瘤の検出法

会員構成

  現在の本学会の会員数は約320名です.その主な内訳は,医師(歯科医を含む),診療放射線技師,大学の研究者(医学系・保健学系・工学系・物理学系),企業の研究者や技術者です.最近は,特に医工学系や医学部保健学系所属の学生の入会が多くなっています.他の医療工学系の学会に比べて,診療放射線技師の会員の構成比率が多いのも特徴と思います.これは,設立当初から本学会の運営役員に診療放射線技師の教育に携わる方が多くおられたからかもしれません.その体制は現在も受け継がれており,現理事22名のうち約半数が日本放射線技術学会や保健学科系列の関係者です.なお,現会長は藤田広志先生(岐阜大学大学院医学系研究科),総務理事は佐井篤儀先生(新潟大学医学部保健学科),編集委員長は原 武史先生(岐阜大学大学院医学系研究科)です.個人会員以外では,関連する24社の企業から,賛助会員として本学会活動にご賛同いただいております.

学術集会

  本学会では,総会を兼ねた年次大会(6月開催),秋季大会(10月開催),春季大会(2月開催)の年3回の学術集会を開催しています.昨年の年次大会は新潟で,秋季大会は東京で開かれました.そして,今度の2月の春季大会は大阪,6月の年次大会は名古屋,10月の秋季大会は福岡での開催を予定しています.こうした年3回の学術集会には,毎回,企業,病院,研究所,大学などから関連分野の最前線で活躍しておられる研究者を講師として招き,その最先端の研究内容について深く見聞する特別講演の時間を設けています.また,一般研究発表については,活発な意見交換を重視し,1演題の発表時間をできるだけ長くとるように努力しています.過去の3大会の記録と今後の予定を表1に示します.なお,次回大会はRII研究会から数えて,通算で第147回大会に当たります.

表1 医用画像情報学会の昨年の大会記録および今後の開催予定
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学会雑誌

  本学会では,これまで年3冊の学会雑誌を発刊して参りましたが,平成18年1月からは電子ジャーナルによるディジタル出版へと切り替えを行いました.ただし,当面は年一回は従来の紙媒体での会誌も発行し,最先端の特集記事を組み,年間の総集編とする予定でいます.昨年1月からは,電子ジャーナルとしてVol.23のNo.1~5を発刊しました.近年の掲載論文の数を種類別にまとめたものを表2に示します.掲載された論文の中から年度単位で特に優れた論文として推薦があった場合は,表彰委員会の決議を経て論文賞が贈られます.また,著者が38歳以下の優れた論文に限定して若手育成のための奨励賞が贈られます.これまでに23篇の論文が論文賞を受賞し,9篇の論文が奨励賞を受賞しています.
  電子ジャーナルは「科学技術情報発信・流通総合システム(J-STAGE)」を利用したウェブベースでのジャーナルであり,最大年6回の発刊を予定しています.ディジタル出版によって,論文掲載の迅速化,効率化,高度化(関連論文が検索可能,カラー貢の自由化),配信の広がり,経費節減などの利点が得られます.特に投稿論文の原稿受付後,最短で2ヶ月程で論文掲載(J-STAGEで公開)に至ることも可能です.
  会員は,掲載論文を電子媒体ですべて閲覧することができます.論文閲覧に関してはいずれ会員専用サービスとする予定ですが,現在はシステムの移行中であるので,非会員でも全論文の閲覧が可能です.また,紙媒体で発刊した過去の学会雑誌(Vol.1 ~Vol.22)もすべて電子化し,現在PDF形式で学会ホームページ上から閲覧が可能です.RII研究会時の会誌「放射線像研究」の電子化についても,現在,取り組んでいるところです.
  なお,学会誌の編集Advisory Boardには,各分野から土井邦雄先生(シカゴ大学),桂川茂彦先生(熊本大学),長谷川純一先生(中京大学),星 博昭先生(岐阜大学),本田 凡(コニカミノルタ)の先生方に就任していだいています.

表2 近年の医用画像情報学会雑誌への掲載論文数
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メールマガジン

  本学会では,学会活動の広報および会員への連絡を強化するために,メールマガジンを定期的に発行しています.このメールマガジンでは,主に学会活動に関する情報(学術集会や掲載論文の情報)を登録者にお送りしています.メールマガジンへの登録は,非会員でも行うことができますので,ご興味のある方はぜひご登録いただけると幸いです.登録方法はいたって簡単で,mii-mag-ctl@fjt.info.gifu-u.ac.jp 宛てに本文に“subscribe 名 姓”とだけ書いて送ってください(例: subscribe Gazou Tarou).すぐに返事が来ますので,そのメールに従ってください.メールマガジンへの登録は学会ホームページからも行うことができます.

おわりに

  最近は,学会ホームページ上での情報発信の強化を図っており,過去の大会記録や掲載論文の情報を含め最新の学会活動の情報を定期的に更新掲載しています.なお,本学会は診療放射線技師の皆様の教育・研究に深く関わりのある学会であると自負しております.診療放射線技師を目指す学生の皆様や研究活動にさらに一歩踏み込みたいとお考えの技術学会会員の皆様に,研究成果を発表する場として,あるいは研究活動を促進するステップアップの場として,身近なところに医用画像情報学会があることをぜひ知っていただけると幸いです.もしご質問等ございましたら,何なりと学会事務局へお問い合わせください(事務局メールアドレス:mii-office@fjt.info.gifu-u.ac.jp).
  最後に,このような医用画像情報学会を紹介する機会を与えてくださった日本放射線技術学会・画像分科会長の杜下淳次先生ならびに画像通信の編集委員の皆様に深く謝意を申し上げます.

投稿者 lee : 2007年03月29日 11:08

会員情報・異動システム停止のお知らせ

システムへの移行に伴いデータ移行作業を行います.
したがって,会員情報システムを4月中旬頃まで停止します.
新システムでは,ウェブ経由での運用を行う予定です.
3月下旬から会員情報の変更などを行った場合には,新システムのデータに反映されない可能性がございます.
あらかじめご了承の程,お願い申し上げます.

なお,この件についての問合せは,原(hara@info.gifu-u.ac.jp,FAX:058-230-6514)までお願いします.

投稿者 hara : 2007年03月27日 13:19

J-STAGEシステム・メンテナンスによる停止

電子ジャーナル掲載先であるJ-STAGEから以下の連絡がありました.
ジャーナルの閲覧,検索が制限されますのでご注意下さい.

利用学協会 各位
平成19年3月5日

 日頃より、科学技術振興機構(JST)の事業にご協力を賜り感謝申し上げます。
さて、昨年12月に一度お知らせ致しましたが、JSTでは下記の日程でJ-STAGEサーバ
機器の更新作業を行います。
 これにともない、更新作業中はサービスを停止させていただきます。
 ご利用の学協会の皆様には大変ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご了承いた
だきますようお願い申し上げます。

                 記

[日 時]2007年3月16日(金) 0:00 〜 3月18日(日) 24:00

[対 象」J-STAGE全サービス

     ※ 上記期間中でも作業完了次第、順次サービスを開始する予定です。
     ※ Journal@rchiveおよびJSTリンクセンターは停止いたしません

[その他]サービス停止に関する詳細情報は以下のWebページにも掲載しております。
http://info.jstage.jst.go.jp/isetsu/

投稿者 hara : 2007年03月05日 15:35