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画像情報処理 実習資料

今回の実習の流れ
  1. モルフォロジ処理
  2. 応用課題
1.モルフォロジ処理
 モルフォロジ処理は,”構造要素”と呼ばれる画像を移動させる要素と,”ミンコフスキー(Minkowski)和・ミンコフスキー差”と呼ばれる演算から成り立っています.モルフォロジー処理における代表的な処理は,「Erosion(エロージョン)」と「Dilation(ダイレーション)」と呼ばれる処理であり,それぞれ孤立点の除去,不連続な点の接続と穴埋めのために利用されます.
 図1にその原理を示します.ここで用いた構造要素をaに示します.これは,原画像のパターンを上下左右の4方向にずらしたパターンを作成することを表しています.ある画像から,このように4つのパターンを作成した結果をbに示します.

図1 モルフォロジ処理の結果

 「Erosion」と「Dilation」はこれら4つのパターンのミンコフスキー差(論理差)とミンコフスキー和(論理和)を計算すればよいです.すなわち,ミンコフスキー差はすべての構造要素から作られたパターンの共通領域のみを計算結果として出力し,ミンコフスキー和は存在領域をすべて計算結果として出力しています.
 cに「Erosion」,dに「Dilation」の結果を示します.また,図2に,8画素を設定値とした「Erosion」の結果(b)と,「Dilation」の結果(c)を示します.周辺の画素に対応して処理が行われていることが確認できます.
 
図2 ErosionとDilationの結果

 同様の処理を二値化処理された画像に適用すれば,モルフォロジ処理が実現できます.以下にその手順を示します.
  1. 二値化処理
     2値化はメニュー「Options」から「Threshold」を選び,前述の
    二値化処理処理を利用すればよい.なお,その値で確定するために,メニュー「Process」の「Binary」のサブメニュー内の「Make Binary」を必ず実行する必要がある.
  2. 収縮処理(Erode)
     前述のとおりに画像の2値化を実行し,その後,「Process」の「Binary」のサブメニュー内の「Erode」を選択する.なお,Scion Imageでは「Erotion」が「Erode」と表示される.
  3. 膨張処理(Dilate)
     前述のとおりに画像の2値化を実行し,その後,サブメニュー内の「Dilate」を選択する.なお,Scion Imageでは「Dilation」が「Dilate」と表示される.
<課題1>以下の画像を用いて,次に示す内容を確認せよ.ただし,画像サイズが小さいため,ズームアップ(虫眼鏡アイコンを使う)で拡大表示して課題を行え.
  1. 「Erotion」を実行し,図2のbと同一になるか,確認せよ.
  2. 「Dilation」を実行し,図2のcと同一になるか,確認せよ.
  3. 「Process」の「Binary」のサブメニュー内の「Set Count [?]」において周辺画素数の設定ができる.この値を変更することによって,どのように変化するのか,確認せよ.また,同じ処理を何回も繰り返してみよ.

<課題2>以下の画像を用いて,図3のようなパターンになる様,努力せよ.ただし,図3はモルフォロジ処理のみによって作成されたパターンである.
図3 目標パターン

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2.応用課題
 時間に余裕のある者は以下の課題を行ってください

<課題>これまでに演習した画像処理手法(鮮鋭化,平滑化,二値化,FFT,アンシャープマスク処理,モルフォロジ処理等)を駆使し,以下の眼底写真を用いて血管の抽出を行え.
 なお,以下図5は図4の画像をScion Imageを用いて処理した例である.

・A4のレポート用紙で、枚数制限なし.
・どのような画像処理手順にしたかを詳しく書くこと
・また、どうしてその処理を使ったか理由を書くこと
・さらに、血管抽出画像をレポートに貼ること.

注1)このレポートの提出は任意です.ただ、提出すると成績に加点されます.(内容によりけりですが・・・)
注2)血管抽出は、藤田研究室の学生が実際に研究しているテーマです.
画像処理に興味のある人はぜひ取り組んでみてください.

・提出期限
(昼間)7月 4日(火)の授業開始時
(夜間)7月24日(月)の授業開始時

図4 眼底写真 図5 結果例

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